足はこう、この角度で、ここに当てる・・・。
公園で実際に見た光景です。6~8歳ごろのと父親がサッカーの練習をしていた際に、ふと父親のスキル指導が始まりました。

「真っ直ぐに蹴れないのはインサイドキックがきちんとできてないからだ。」「インサイドキックは足を真横にしてボールに当てないと。」「バランスを崩すな、横にしたままキックだ。」さっきまでの楽しかった雰囲気は一変しました。

その子はどうしても足の側面でキックできない様子。すると、足が横に向くようにインサイドキックをする格好で歩く練習をするように言われた子。そのまま足を横にしてズリズリと歩き出しました。ズリズリと歩いて、ボールをキック。そしてまたズリズリと歩いて・・・。

楽しくボールをキックする時間はなくなり、その練習の後、親子は公園を後にしました。

「インサイドキックは正確なパスに必要なスキル」
ということは事実かもしれませんが、どのようなスキルにも適した導入のタイミングがあります。また、スキルの必要性の認識には段階が必要で、子どもが納得した上で指導するのが効果的です。

楽しくキックをする→正確にキックしたほうがゲームに有利になると感じる→キックが上手になるように練習に取り組み始める(キックが上手な事を評価してもらう)→さらにうまくなるのにアドバイスを求める。このような循環でスキルは向上します。
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まずは興味から。
スキルの指導にはいくつかのポイントがありますが、今回は、スキルの指導は後回しでも大丈夫ということをお伝えしたいと思います。様々な研究や論説がありますが、良く耳にする「ゴールデンエイジ」についても、日本のスポーツ現場では少し意識が強すぎるように感じます。

スキルは大人になってからでも身につきますし、トップレベルのコーチングスタッフは、ゼロからスキルを指導できる自信を持っています。オーストラリアでは18歳くらいになってから競技種目を変えて、スキルを一から身につける場合もあります。また、オーストラリアのトップレベルのスポーツコーチは、スポーツに対する姿勢や、体の使い方、体格を見て、成人したアスリートを他のスポーツに転向させる場合もあります。


スキルはもっと後回し。
先述の公園での光景は良く見られるものかもしれません。「スキル指導」=「スポーツの指導」というイメージもあるかもしれませんが、スキルの習得は後回しでも大丈夫。スキルを気にするのはもっと後で良いのです。

まずはうまくなるよりも興味を持ってもらうことが大切です。興味を持てばスポーツに触れる機会が増え、自然とうまくなり、さらにスポーツが楽しくなり、さらにうまくなり、、、と好循環になっていきます。

絵を描く子どもに描き方のフォームを教える人はあまりいません。しかし、スポーツとなるとついつい「指導」したくなってしまう。スポーツもっと自由に、時にはラグビーボールでドッヂボールをしてみたり、絵を描くように自由な発想で楽しむことが大切なのではないでしょうか。

スキル指導で得られるのは短期間の上達です。「脇をしめて、ペンはこう持って、、、」とお絵かきのスキル指導をされた子は、お絵かきを楽しめないでしょう。子どもの意に反して指導を行うことは子どもをスポーツから遠ざける行為です。もっと長いスパンで「スポーツを楽しむ」ことを念頭に置いた場合、スキル指導はもっともっと後回しで良いのです。
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